三国山脈(群馬) 小出俣山(1749.2m)、本谷ノ頭(1969m)、川棚ノ頭(1845.7m) 2020年4月11日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:54 林道入口−−5:49 千曲平(林道を離れる)−−8:37 小出俣山−−8:55 1653m峰−−9:07 1550m鞍部−−9:57 本谷ノ頭 10:09−−11:05 川棚ノ頭 11:50−−12:20 本谷ノ頭−−12:54 1550m鞍部−−13:15 1653m峰−−13:40 小出俣山 13:56−−15:00 千曲平(林道)−−15:45 林道入口

場所群馬県利根郡みなかみ町
年月日2020年1月11日 日帰り
天候雪後曇後晴後曇
山行種類残雪期の籔山
交通手段マイカー
駐車場林道入口ゲート前に広い駐車場あり
登山道の有無無し
籔の有無標高1300m以下は新雪のみで笹藪が出ていたが無雪期でも問題ないレベルの濃さ。標高1300m以上は残雪で藪無し
危険個所の有無無し。ただし雪庇踏み抜きに注意
山頂の展望いずれの山も大展望
冬装備ワカン:新雪が無ければ不要だが今回はあって良かった  アイゼン:10本爪を使用したが過剰装備  ピッケル:藪に乗った雪を叩き落す以外に出番なし
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コメント川古温泉から小出俣山経由で川棚ノ頭を日帰りで往復。前日の降雪が気になったが、予想通り小出俣山より奥で新雪の影響を強く受けて時間も体力も消耗した。新雪が無ければ快適な残雪歩きが楽しめたと思う。川棚ノ頭直下の急な登りが心配だったが崖は無く雪もほとんど無く安全に登れた。天候は予報よりも回復が遅れて半分以上はガスと冷たい強風の中を歩くことになり、方位磁石と地形図が活躍した。小出俣山までなら他に登山者がいるかと思ったらこの日は私一人だった


1653m峰から見た川棚ノ頭、本谷ノ頭。短時間しかその姿を見せてくれなかった


林道ゲート前駐車場。どうやら釣り人がメインらしい 施錠されたゲート
赤谷川第二発電所調整池 林道にも新雪が残る
追い越されたバイクは千曲平にあったが登山者ではなかった 千曲平のこの標識から尾根に取り付く
最初は杉植林の平坦地。その奥に尾根がある 尾根に取り付く。新雪はあるが古い雪は無い
標高1090m付近 標高1200m付近
標高1300m付近の熊棚 標高1310m付近でやっと古い残雪に乗り笹藪とさらば
標高1400m付近の岩。登りは東を巻いたが西が正解だった 標高1440m肩はネズコが林立
気温は-3℃前後 標高1580m付近から南を見る。南は晴れている
標高1600m付近 標高1600m付近の幕営跡
標高1700m付近 小出俣山山頂。ガスで視界無し
小出俣山から北東を見ているが何も見えない 小出俣山から北東へ下る。尾根直上は新雪が深い
標高1660m付近 標高1650m付近。北に延びる尾根に乗った
1653m峰への登り 1653m峰から1550m鞍部への下り
1550m鞍部 1550m鞍部から1600m峰方向を見ている
1600m峰から見た本谷ノ頭 1580m鞍部
1640m付近。樹林帯を抜ける 1680mの尾根合流で隠れクレバスにはまる
気温-4℃のガスで霧氷発達中 本谷ノ頭山頂手前。同じような高さの尾根が続く
本谷ノ頭山頂。張り出した雪庇が最高点 霧氷が長い!
本谷ノ頭でワカンをデポ 1660m鞍部から1780m峰への登り
標高1680m付近。これ以降は立木皆無で笹と低灌木のみ 1780m峰。ガスで川棚ノ頭に続く稜線が見えず方位磁石で確認
正しい尾根に乗り1740m鞍部へと下る 1740m鞍部から川棚ノ頭への登り
標高1790m付近。地形図では崖並みの傾斜だが普通に歩ける 標高1830m付近。山頂間近だがガスで見えず
川棚ノ頭山頂。三角点は固く締まった雪の下 山頂から東を見ている
気温は0℃付近まで上昇したが北風が強く寒い! エビのしっぽが盛大に発達
標高1790m付近の下り 1780m峰を越えて標高1730m付近
本谷ノ頭にデポしたワカンを回収
午後になってやっと天候が回復。本谷ノ頭から見た阿能川岳〜小出俣山
標高1650m付近から見た小出俣山 標高1600m峰付近から見た足尾山塊
標高1600m峰付近から見た阿能川岳〜小出俣山〜川棚ノ頭(クリックで拡大)
標高1560m付近 日差しで新雪が重くなり1550m鞍部でワカン装着
1550m鞍部から1653m峰への登り 1653m峰から見た川棚ノ頭
1653m峰から見た小出俣山
標高1700m付近から見た本谷ノ頭〜阿能川岳
小出俣山への最後の登り・トレースは往路の自分のもの 小出俣山山頂。足跡は増えていなかった
小出俣山から見た北東〜東〜南〜南西の展望
小出俣山から見た南西〜西〜北〜北東の展望
小出俣山から見た上州武尊、奥日光〜足尾山塊
小出俣山直下で風を避けて休憩 往路と同じくオゼノ尾根を下る
標高1600m付近から見た尾瀬の山々。谷川岳〜阿能川岳の間に見えている
標高1600m付近から見た尾瀬の山々
標高1440m肩 帰りの標高1400m付近の岩は西を巻いてみた
岩の基部をトラバース中 最後のトラバース
標高1310m付近。古い残雪はここまでで笹が登場 標高1310m付近から上を見ている
標高1130m付近。新雪はこれ以下ではほぼ溶けている 下りで見えるような目印あり
標高840mでオゼノ尾根がおしまい オゼノ尾根起点
林道脇に野生動物記録用カメラあり 林道脇の雪もすっかり消えていた
千曲平で林道到着 赤谷川第二発電所調整池
林道起点近くの岩 ゲートに到着
ゲート前の駐車場。登山者は私のみ


・谷川岳周辺で未踏の山は少なく、残雪期に適した山という条件では川棚ノ頭と本谷ノ頭くらいだろうか。ここは谷川岳付近の県境稜線と小出俣山を繋ぐ尾根上にあり、当然ながらその尾根には登山道は無い。谷川岳付近の稜線は根曲り竹や灌木の藪ではなく主に背の低い笹藪なので私なら無雪期でも行けそうな気がするが、雪があって藪が埋もれた残雪期の方が楽なのは間違いない。

・川棚ノ頭の山頂を踏むには谷川岳から下る方法と小出俣山から上がる二つの方法が考えられるが、藪屋としては谷川岳経由は面白みがない。それに谷川岳は人気スポットで駐車場所確保の問題もあり、早々に小出俣山経由に決定。

・天気予報では金曜までは冬型が残るが土曜日には回復して新潟も晴れの予報。出だしはまだ雲がかかっているかもしれないが、稜線に出る頃には快晴が期待できそうだ。

・今年の残雪期は主に飛騨北部へ通っていたが、いよいよ雪解けが進んで雪が残るのは標高がそこそこ高い山のみとなった。しかし飛騨北部で未踏の標高が高い山は白山周辺に集中していて、いくら長野といえども週末に行くには遠い場所。そこで目を付けたのが川棚ノ頭だった。関東は杉花粉の影響で春先は行けない場所に変わるが、今年は暖冬で花粉の開花が早かったため終わりも早めであり、そろそろいいだろう。それに群馬北部の県境なら元々杉は多くはない。ただし、そこまで行く途中に杉が多いが。

・久しぶりに菅平から鳥居峠を越えて嬬恋、吾妻、長野原、中之条から「みなかみ」へと入った。今週は夏タイヤに交換するか悩んで交換せずとしたが、この週末は冷え込んで菅平でー4℃、周囲に雪が積もり冬タイヤのままで正解だった。ちなみに次の週に夏タイヤに履き替えた。

・国道144号線は昨年の台風で通行止め箇所が発生したのは知っていたが、まさか半年たった今でも通行止めのままだとは思わなかった。高原地帯を通る県道が迂回路に設定されていた。おそらく吾妻川に沿って付けられている区間が削られてしまったのだろう。開通までにしばらく時間がかかりそうだ。

・大道峠を越えて国道17号線に合流、すぐに右に入って川古温泉方面へ。途中から雪が舞い始めた! まさかの降雪で下手をすると山の上はラッセルかもしれない。車にはスノーシューもワカンもまだ積んだままなので対応は可能だが、固く締まった気持ちのいい残雪歩きとはいかないようだ。

・冬装備をどうするか悩んだが周囲の新雪は積もることはなく、見えている範囲で山肌を覆う新雪もかなり少なめに見えたので、スノーシューではなくワカンを選択。小出俣山までならアイゼンもピッケルの不要だが、川棚ノ頭はそうはいかない可能性があるので両者とも持つことに。

・早朝のまだ暗い時間に林道入口に到着。既に車2台が準備中。おそらく行き先は小出俣山だと思うが、他に登山者がいると心強い。こちらは事前に準備していたので車を降りてすぐに出発。この林道を歩くのは何年ぶりだろうか。前回歩いたのは十二社ノ峰〜小出俣山を周回した下山時だったはず。予想通りに林道はすっかり雪は解けているが、標高が上がると新雪が僅かに積もりだした。上の方はどれくらい積もっているだろうか。途中で2人乗りのバイクに追い越されたが、車2台の主だろう。これでラッセルの心配は無くなった(笑)

・バイクは千曲平付近で発見。私のビハインドは30分程度だろうか。ラッセルを避けるためには先行の二人に追いつかないようにしないと。

・林道脇にぶら下がった「31」と書かれた樹脂製の標識から植林帯に入って尾根に取り付いたが、尾根上に二人の足跡が無い。どこまで行っても無い! 予想外にこの二人は登山ではなく渓流釣りだったようだ。残念。

・これで3回目のオゼノ尾根なので勝手は知っている。藪の様子も知っているのでしばらくは残雪が無くても問題ない。この付近は笹が中心で、しかもそれほど密度は高くなく雪が無くても問題にならない。ただし、今日は新雪が僅かに積もっていて、それが笹に乗っているのが厄介。体が濡れてしまうのでピッケルで叩き落としながら進む。踏跡は微かにあるような無いような程度。

・残雪がなかなか現れないままだったが、標高1300m付近に達して急に古い残雪が現れると同時に、それまで蔓延っていた笹がきれいさっぱり消え失せた。新雪では笹は立ったままだったが古い雪の下で横になっているのだ。これで雪を叩き落としながら歩く必要は無くなり格段に歩きやすくなった。古い雪は良く締まっていてツボ足でも負荷は少なく、ワカンは使わずにこのまま歩く。

・標高1400m付近で尾根上に岩が登場。お隣の阿能川岳では岩を右に巻いた記憶があるが、オゼノ尾根については記憶が無い。右に巻いてみたが結構な急斜面で、ピッケルが役立つくらいだった。雪が締まってキックステップがさほど効かず、結構にギリギリなトラバースになってしまった。特に最後は雪壁状の急斜面を登る羽目に。

・標高1440m肩ではそれまでブナ林だったのがそこだけネズコあり。これは記憶にある光景。少しずつ新雪の積雪が増えていたが、軽いので足への負荷は比較的少ない。でもこれ以上増えたらワカンの登場かも。

・天気予報よりも天候の回復が遅れているようで、まだ雲が覆って雪が舞っている。積もるほどの強さではないが、この雲が取れないと止まないかも。雪よりも雪雲に入って視界が制限される方がイヤらしい。

・標高1600mで雪のブロックを積んで風除けにした幕営跡が登場。風が強くなってきたのでここで防寒着を着る。登りで防寒着が必要な天候は久しぶり。気温は-3,4℃だった。ここまでの新雪が飛ばされた古い雪面では雪が締まって滑りやすい場所もあり、ここでアイゼン装着。

・この先は背の高いブナは消えて開けた尾根になると同時に風が強まった。その風の影響か新雪がほとんど積もっていない場所が現れるようになり、そのような場所は良く締まった雪なのでそこを選んで登って行く。その雪面には古い足跡あり。アイゼンが気持ちよく効く。

・小出俣山山頂近く、標高1700m付近を越えるとガスの層に突入し、視界が制限される。緩やかな雪庇を越えると小出俣山山頂だが、新雪に覆われて足跡は皆無。おまけに視界も皆無で地形図を取出し、方位磁石で北東を確認して緩やかな稜線を下り始める。

・阿能川岳や川棚ノ頭に続く稜線は大きな雪庇に覆われるが、雪庇は新雪も吹き溜まっていてツボ足では大いに潜るため、尾根の西側の背の低い樹林帯との境界を降りていく。吹き溜まりでは新雪が50cm以上積もっているだろう。この時期にこの標高でこの新雪は勘弁してもらいたい。

・ガスで視界が無く先の尾根の様子が見えないので地形図と高度計の表示を頼りに進んでいく。地形図を見る限りは尾根通しに行けば自然と川棚ノ頭方面に引き込まれるはずであるが、念のために途中からやや左に進路を変更して背の低い樹林帯の緩斜面を下って行く。ここも新雪が少なく歩きやすい。

・1630m鞍部付近でやっとガスの層を抜けて展望が開け、進行方向に1653m峰が見えたのでルートに誤りが無いことが判明して一安心。広い尾根を下って行き1630m鞍部から僅かに登り返し。尾根幅が広いのでここも新雪が積もっていないところを選んで進む。

・1653m峰に上がると地形的な要因で次の1550m鞍部が見えない。1653m峰から1550m鞍部への下りは尾根形状を成していないので、尾根を直進ではなく適当なところで右斜面を下る必要がある(尾根を直進すると阿弥陀沢に下ってしまう)。尾根直上ではなくやや東に下った斜面を鞍部が見えないか確認しながら少しずつ高度を落とすと、樹林の切れ間で1550m鞍部を確認できた。思ったよりも先にあり、横移動に切替えて一度尾根直上に戻り、直角に右に曲がって広い斜面をまっすぐ下る。ここも背の低い樹林がメインで、古い雪が露出しており締まって歩きやすい。

・1550m鞍部は広くて判然としない。ここも稜線直上は吹き溜まった新雪の雪庇でラッセルがきついので、西側に外れた斜面を歩いた。鞍部付近の植生は背の低い樹林と雪面から顔を出した笹であった。

・1600m峰への登りもラッセルを避けて主に西斜面を上がっていく。冷たい風が強く体感温度がかなり下がった。気温は-4℃で真冬よりは高いが、今の時期としては低いと言えるだろう。1600m峰はまだガスの層の下だが、残念ながら本谷ノ頭より奥の稜線はガスの中に隠れている。天気予報ではもう晴れているはずの時間帯なのだが、回復が遅れているようだ。

・新雪ラッセルを避けて西斜面を迂回したまま1580m鞍部から本谷ノ頭への登りにかかる。最初は低い樹林帯だが標高1630m付近から低い立木も消滅して真っ新な雪面に変わる。それでも尾根直上を避けて西斜面なら新雪は少なくラッセルがほとんどない。しかし本谷ノ頭から南西へ延びる尾根に接近すると雪庇になっていて、こちらからだと雪庇を越える必要がある。大きな雪庇ではないので乗り越えるのは大したことはないが、雪庇は新雪の吹き溜まりなのでラッセルがきつい。雪庇を突破した直後には新雪に隠れたクレバスがあったようで腰まで雪に埋まり、脱出にピッケルが役立った。

・深い新雪の雪庇を抜けると尾根の向きが北東へと変わり、新雪が少ないのは北側斜面となる。これまで同様に背の高い木は皆無で、霧氷が付いた背の低い灌木が斜面に貼りついて、右側(南側)は切れ落ちて雪庇がどこまで張り出しているのか見えず、危険で歩けない。まあ、灌木と雪面の境界が安全地帯だろう。

・なだらかに登り切ったピークが本谷ノ頭山頂。明瞭なピークではなく同じような高さの稜線が続く。僅かに2つの盛り上がりがあり、GPSによると東側の盛り上がりが山頂だった。山頂近くでガスの層に入ってしまい展望が無い。立木が無いので山頂標識も無い。おまけに風を避ける場所もなく、低い灌木の脇で休憩。寒すぎて長時間の休憩は無理だ。枝に付いた霧氷を見ると2,3cmにまで発達している。今の気温(約-4℃)だと霧の水滴は過冷却状態で、枝にぶつかった瞬間に凍り付いて霧氷と化すのであろう。雨で濡れるよりはずっとマシだが、天気予報だともう晴れているはずだったのに・・・・

・次は最終目的地の川棚ノ頭。ここまでワカンを担いできたが、新雪が飛ばされて積もっていない場所を選べばワカンは不要だったので、ここでデポすることに。アイゼンもデポしようかと思ったが、川棚ノ頭への登りが等高線が高密度で危険地帯の可能性もあり、ピッケルと共に持っていくことにした。ただし、結論から先に書いてしまうと、ワカンもアイゼンもピッケルも不要だった。

・ガスの中を新雪の雪庇が覆った稜線直上を避けて北斜面を緩やかに下り、1660m鞍部から1780m峰への登りにかかると、それまであった高さ1〜2m程度の灌木も消えて森林限界のようなさらに背が低い灌木や草や笹などに植生が切り替わる。本来ならば大展望のはずだがガスで真っ白。おまけに正面近くから冷たい風。防寒具を着ても体感的に寒いくらいで鼻水が止まらない。

・積雪でよく分からなかったが、この稜線にはどうも微かに踏跡があるような。低い藪の隙間に連なる新雪の白い筋が時々見いだせた。この植生だと雪が無い方が歩きやすいと思う。古い雪はほとんど残っていないようだった。

・1780m峰てっぺん付近はなだらかな地形で、ガスで先が見えないため川棚ノ頭に続く尾根がどこなのか判断できない状況。かじかむ手で強風と格闘して地形図を広げて方位磁石を取り出して進行方向(北東)を確認、緩やかで広い斜面下って行くと徐々に尾根がはっきりして一安心。1780m峰の先も立木が皆無で開けた尾根が続く。

・1740m鞍部から登りにかかるが植生は変わらず。地形図では標高1800m付近で等高線が込み合って常識的には崖が登場すると思われたが、稜線右手は切れ落ちた崖だが尾根上は傾斜はそこそこきついが普通に安全に歩ける地形だった。ここに生えているのは草なのか草のような地を這う低木なのか。それらは新雪で真っ白だった。それらの隙間に踏跡のような空間があった。

・傾斜が緩むと川棚ノ頭は近いが、シャクナゲなどの灌木が中心となり少し歩きにくくなる。まさに森林限界だがハイマツは無いようだ。さらに傾斜が緩んで水平になった細い尾根上が川棚ノ頭山頂だった。山頂には僅かながら固く締まった雪が残り、よりによってそれは三角点があるはずの場所周辺で、三角点は確認できなかった。立木が無いので山頂標識も無し。ガスで展望も無し。山頂付近は南側は崖ではなく稜線直下は一段下がって傾斜が緩やかな場所があり、風避けに丁度よかったので休憩。風が無いだけで体感温度はかなり高くなる。温度計を見ると気温は0℃まで上がっていたが、周囲の灌木に張り付いた霧氷は溶ける気配なし。

・銀マットを雪の上に敷いて休憩していると、曇っているのに僅かに温かみを感じることがあった。最初は気のせいかと思ったが、一瞬ではあるが雲が薄くなって太陽の輪郭が見える瞬間があった。僅かな日の光のはずだが、明らかに体感で分るくらいの差があった。まだ稜線はガスに覆われているが、徐々に太陽が顔を出すタイミングが長くなり、天候は回復傾向のようだ。ただし昨夜の予報よりは回復が遅れている。

・休憩を終えて下山開始。帰りは追い風になるので往路よりは体感的に寒さを感じにくい。相変わらずほとんどの時間帯はガスの中で視界が無いが、新雪に残った往路の足跡がいい目印になる。本谷ノ頭東鞍部手前の標高1680m付近でやっとガスの層を抜けて視界が開ける。阿能川岳の稜線は姿を現したが小出俣山はまだ雲の中。

・本谷ノ頭でデポしたワカンを回収して下って行くと、日差しが得られる時間が出てきた。南の空は晴れているが、この付近は雲の境界線上にあり、ガスを抜けたといっても頭上には多くの雲があるため、雲の切れ間で日差しが出る程度だ。しかし時間経過と共に天候は急激に回復し、ようやく頭上の雲が取れて晴れのエリアに突入した。川棚ノ頭付近は最後まで雲が絡んでいたがやっと姿を見せてくれた。西から見ると切り立ったピークで、あんなに簡単に登れるとは思えないほど。しかし。川棚ノ頭が見えていたのは短時間だけで、再び稜線は雲が被ってしまった。県境稜線を北風が乗り越える場所で雲が湧いているようだ。小出俣山〜阿能川岳の稜線はすっきり晴れていた。

・1550m鞍部から1653m峰へ登り返すと小出俣山山頂が間近に見えるが、人の姿は無いようだ。でも今日は残雪期の貴重な週末であり、小出俣山までなら他に登っている人がいると確信していたが、小出俣山頂に到着したら無人で、足跡も私のものだけだった。山頂の雪庇に隠れて風を避けながら最後の休憩。

・オゼノ尾根を下っていくが、標高1300m付近で古い残雪が消えて日差しで雪解けが進んだ新雪エリアに入ると、とたんに滑りやすくなり何度もコケた。雪が解けて地面が湿っているのと雪そのものでも滑るのであった。その雪も標高1130m付近以下では姿を消して、滑り要因が湿った土のみとなり、かなり歩きやすくなった。

・林道に到着すると、朝は僅かに積もっていた新雪はきれいさっぱり消えていた。朝追い越されたバイクの姿も消えていた。林道を行く人間は私一人。天候はすっかり回復して日差しが眩しく標高が下がって気温も上がったが、鼻水と軽い悪寒は止まらず。稜線のあの天候ですっかり風邪を引いてしまったようだ。風邪は月曜日になっても回復せず、会社にお休みの電話をしたところ、新型コロナウィルスの関係で熱がある間+熱が下がって3日間は出社禁止とのお達しが出てしまった。仕事が詰まっている時に4日間も出社できなかったのは痛かった。

・林道入口に到着すると車が数台。これらは登山者でないことは分かっているが、やはり釣りだろうか。だとしたら意外と人気がある釣りスポットだろう。

 

都道府県別2000m未満山行記録リスト

 

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